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概要:瀬戸際戦術はトランプ米政権の真骨頂だが、中国との通商交渉においてはその機を逸したのかもしれない。結果として不本意な内容で中国との合意に応じざるを得ない可能性がある。 交渉のカードは常に相対的なものだ。昨年第3・四半期末時点で、中国経済はきしみを見せていた一方、米国の経済と金融市場は最盛期にあった。 それ以降、中国経済のきしみは相変わらずだが、米国経済・金融市場の方も息切れの兆しを見せ始めた。世
John Kem
[ロンドン 18日 ロイター] - 瀬戸際戦術はトランプ米政権の真骨頂だが、中国との通商交渉においてはその機を逸したのかもしれない。結果として不本意な内容で中国との合意に応じざるを得ない可能性がある。
交渉のカードは常に相対的なものだ。昨年第3・四半期末時点で、中国経済はきしみを見せていた一方、米国の経済と金融市場は最盛期にあった。
それ以降、中国経済のきしみは相変わらずだが、米国経済・金融市場の方も息切れの兆しを見せ始めた。世界の貿易統計や製造業活動は、昨年第4・四半期から今年初めにかけての景気減速をなおさら鮮明に示している。
昨年9、10月であれば、米政府は中国に懲罰的な関税をかけるというリスクを取り、景気への影響はかわせると期待しつつ、中国の降参を待つことが可能だっただろう。
しかし現在、経済と金融市場の状況は当時よりずっと脆弱になり、懲罰的関税を導入すれば国内外の経済がリセッション(景気後退)に陥りかねない状態となっている。
<政治的な背景>
トランプ大統領が決めた3月1日の期限までに米中が合意できない場合の影響を恐れ、米中双方は不完全、あるいは暫定的でもよいから何らかの合意を結ぼうと躍起になっているようだ。
報道によると、最も肝心な問題について溝は深いにもかかわらず、両国は徐々に暫定的な合意に近づいている。農業、エネルギー、財、サービスについて合意する一方、知的財産権、技術移転、助成、国有企業といった厳しい問題はそっくり先送りするという、部分的合意に落ち着かざるを得ないのかもしれない。
米国の対中強硬派は、中国経済を変革し、公平な貿易を確保するような包括的合意以外には応じないよう、米政権に迫ってきた。
過激主義者にとって、リセッションという形の短期的な打撃は、構造面で長期的成果を勝ち取り、米国の技術的、経済的優位を守り抜くため、取るに値するリスクだ。
しかしホワイトハウスとしては、構造的な目的とリセッションのリスクを天秤にかける必要がある。そして1年9カ月も経たないうちに大統領・議会選(予備選までは1年もない)が控えていることも、勘案せねばならない。
トランプ氏は、再選を目指す2020年の選挙で経済を中心的な争点に据えそうだが、景気が後退すればそれが難しくなる。
<合意への期待>
さまざまな経済・金融市場の指標は、米経済が昨年第3・四半期末か第4・四半期初めにピークを越え、その後大幅に減速したことを示している。
米国株は昨年9月下旬に天井を打ち、12月下旬にかけて20%も下がった。ただ、その後はやや持ち直している。
ここ1カ月、米国株が反発して消費者と企業の景況感が落ち着いてきたのは、米中が通商交渉で合意に至る、あるいは少なくとも関税の引き上げを延期するとの期待によるところが大きい。
トランプ大統領を含む政府首脳は、交渉が進展していると強調して金融市場の期待を煽った。期待感は石油などコモディティー市場にも広がった。
市場は(限定的、不完全な合意、もしくは交渉延期さえ含む)合意によって米国と世界の経済が成長を続け、リセッション入りが避けられると期待している。
この結果、景気見通しは通商交渉の行方と深く絡み合うようになり、米国の交渉担当者の「テコ」は弱まった。
交渉が決裂して懲罰的関税が実行されれば、中国経済が厳しい打撃を受けるのは間違いないが、米国経済はそれ以上に大きな傷を負う可能性がある。絶対値でというより相対的に見て。
中国の人民元は昨年10月に対ドルで過去最安値を付けたが、その後大幅に上昇しており、米中経済のバランスが変化していることがうかがえる。
関税がリセッションを引き起こし、米政府が責めを負うことになるとも限らないため、政府にとって瀬戸際戦術は非常にリスクが高い。
トランプ政権の瀬戸際戦術はこれまでいくつか成果を挙げてきたが、相手側の覚悟と抵抗力を読み誤ったケースもあり、勝敗はまちまちだ。
米政権が包括的な合意以外を拒否し、リセッション入りのリスクを取る可能性がないとは、誰にも言い切れない。
しかし米中、とりわけその首脳らにとって、交渉が決裂すれば失うものは大きい。交渉の成功が予想される一番の根拠はそれだ。しかし困難な問題を先送りすれば、対価を払わされるだろう。
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