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概要:会社に縛られない働き方として人気が高まっているフリーランス。公的なセーフティーネットが勤め人に比べてかなり心細いことは、それほど知られていません。急いで「独立」を決める前に、少しだけ勉強してみませんか?
加入する公的保険制度がどれかによって、健康診断の自己負担額は大きく異なる。
Shutterstock
なぜ、このような格差が生じるのか?勤め人とフリーランスが加入する公的保険制度が違うからだ。
まずは医療などに関する健康保険。勤め人は企業ごとの健康保険組合や、中小企業の社員が入る協会けんぽなどに加入する。フリーランスが入るのは、主に市町村が運営する国民健康保険だ。
健康保険で費用が賄われる健診や傷病手当金、出産手当金に関する格差は、加入先がどこかによって生じる。
勤め人が入る健保組合や協会けんぽは、すでに述べてきたように保障内容が充実しているうえ、企業も保険料を負担するため国保に比べて安い。
特定社会保険労務士の岡佳伸さんの試算によると、「28歳・月収20万円・東京都練馬区在住」が支払う健康保険料の年額は、中小企業の会社員(協会けんぽ加入)の場合は15万8400円なのに対し、フリーランスは28万9692円と差は大きい。
休業給付は労災保険、育児休業給付金は雇用保険から支払われる。だが、いずれも勤め人が対象で、フリーランスは原則として対象外だ。
年金支給額でも大差。老後資金の確保のための負担は重い
フリーランスと勤め人では、年金支給額の格差も大きい。
akiyoko / Shutterstock.com
老後の暮らしを支える年金も、フリーランスにとっては心もとない。
フリーランスが加入するのは基本的に国民年金。一方、勤め人が加入する厚生年金は保険料の負担は国民年金より大きいが、企業も保険料を負担し、受け取れる年金額もかなり多い。
特定社労士の岡さんが(1)22~60歳まで働く(2)月収は20万円から50万円まで段階的に増える(3)65歳から年金を受け取る(4)年金支給額の水準は現状のまま、といった前提を置いてごく大まかに試算したところ、フリーランスの場合は保険料を計787万6800円納め、月6万5000円ほどの年金を受け取る。一方、会社員は計2030万4240円を支払い、月16万4000円ほどを受給する。
今働いて保険料を納めている世代が、老後に年金をどれくらい受け取れるかははっきりしないので、この試算はあくまでも「イメージ」だ。
それを前提に解説すると、支払った保険料に対する年金受取額の割合はほぼ同じ。ただ、公的年金には保険料に加えて税金も投入されており、民間保険より圧倒的にお得だ。フリーランスは受け取る年金の絶対額が少ないだけに、民間保険や資産運用によって自力で老後に備える必要があり、重い負担がのしかかる。
日本の社会保障制度はかなり複雑なので、以上の説明はあくまでも大ざっぱなものだ。
新たなワーキングプアに?社会保障の再設計が急務
フリーランスという働き方を多くの人が安心して選べるようにするには、「働き方に中立な社会保障制度」が必要だ。
Shuttestock
日本の社会保障制度の歴史を振り返ると、戦前から勤め人向けの保険制度の整備が先行。戦後しばらくしてから政府は「国民皆保険」を掲げ、農漁業者や自営業者もカバーするため制度を「接ぎ木」してきた。
最近、特に増えているのはネットで単発の仕事を請け負う「クラウドワーカー」と呼ばれるフリーランスだ。
仕事を依頼する企業に対して立場が弱く、さまざまな面で企業側の指示に従う「労働者」に近いケースも目立つ。税制面などでメリットを受けられる法人化のハードルも低くない。国保や国民年金が主な対象者に想定していた「農業者や自営業者」とはかなり異なる。
リクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査2018」によると、フリーランス(雇われていない自営業者などで、実店舗を持たず、農漁業者ではない、といった条件を満たす人)は440万人と就業者の7%ほど。そのうち勤め人が副業でフリーの仕事をしているのではなく、「本業がフリーランス」という人は300万人にのぼる。
フリーランス協会の平田さんは言う。
「個々人のライフイベントやキャリアステージに応じたさまざまな働き方を、多くの人が安心して選べるようにすることが大事です。フリーランスが『仕事上のリスク』を取るのは当然ですが、『生命・身体のリスク』までは取りようがありません。
働く人という意味ではフリーランスも会社員も同じ。働き方に中立な社会保障制度にしていくことが必要だと思います」
協会は、損害保険会社と組んでフリーランス向けの休業時の所得補償制度を提供するといった「自助努力」に加え、職種を問わず加入できる健保組合の創設や、出産・介護に関するセーフティーネット整備など社会保障制度の改善案を提言している。
ニッセイ基礎研究所の金明中・准主任研究員は、こう警告する。
「クラウドワーカーは法的には『労働者』でないため、最低賃金の規制などが適用されず、公的な社会保障制度も手薄です。このまま放置すれば新しいワーキングプアが生まれ、貧困や格差の問題がより拡大するおそれがあります」
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(文・庄司将晃、写真はすべてイメージです)
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