コラム：インスタグラム、フェイスブックの大事な「金づる」に

Gina Chon

［サンフランシスコ ２４日 ロイター BREAKINGVIEWS］ - 米フェイスブック(FB.O)にとって、写真共有アプリのインスタグラムは「金づる」と化しつつある。第１・四半期決算で売上高を伸ばせた大きな理由は、インスタグラムの存在だ。

同社には、このインスタグラムで広告表示を増やし、収入拡大を図る余地がある。しかしリスクとなるのは、「古い」フェイスブックがインスタグラムの領域に進出するのを阻む煩わしい広告や怪しいコンテンツの存在だ。

フェイスブックが２４日発表した第１・四半期決算は、売上高が前年同期比２６％増の１５１億ドルとなり、その立役者がインスタグラムだった。最近ではアプリを利用している一部ブランドの投稿から、ユーザーが「チェックアウト」ボタンを押して直接商品を購入し、売り上げの一部がインスタグラムに入る仕組みを導入した。

２４時間で投稿が消えるインスタグラムの「ストーリーズ」も広告主に人気だ。キーバンク・キャピタル・マーケッツのアナリストは、２０１９年はフェイスブックの売上高の半分をインスタグラムがもたらすと予想している。

インスタグラムは、次世代ユーザーを取り込む上でも決定的な役割を果たす。パイパー・ジャフレーが最近、十代の若者８０００人を対象に調査したところ、一番人気のソーシャルメディアはスナップ(SNAP.N)社のスナップチャットだが、最も使われているのはインスタグラムだった。フェイスブックそのものの利用は減っており、好きなメディアだと答えた十代は６％にとどまった。

しかしフェイスブックがインスタグラムでの収入拡大を追求すれば、インスタ独自の特徴を好む利用者を遠ざける恐れがある。フェイスブックは個人ネットワークの囲い込みを狙い、傘下のインスタグラムと「フェイスブック・メッセンジャー」、「ワッツアップ」の統合を進める計画だが、各々の違いがますます曖昧になりかねない。

フェイスブックは個人情報保護の面でも問題を抱えている。３月にはインスタグラム利用者のパスワードが社内で閲覧できる状態になっていたと発表した。利用者にとって不快なだけでなく、経費も発生する。第１・四半期決算は、個人情報保護を巡り米連邦取引委員会（ＦＴＣ）から３０億─５０億ドルの罰金を科される可能性に備えて引当金を計上したことが響き、減益となった。

インスタグラム共同創業者のケビン・シストロム、マイク・クリーガー両氏が昨年フェイスブックを去って以来、インスタグラムの方向性には疑問が投げかけられている。フェイスブック全体で見ると利用者の伸びは鈍っており、ザッカーバーグ最高経営責任者（ＣＥＯ）はドル箱のインスタグラムを大事に扱う必要がある。

●背景となるニュース

・フェイスブックが２４日発表した第１・四半期決算は、売上高が前年同期比２６％増の１５１億ドル、純利益は５１％減の２４億ドルだった。希釈後の１株当たり利益は半減の０．８５ドル。情報保護を巡るＦＴＣからの取り調べに絡み、３０億ドルの引当金を計上した。[nL3N22650K]

・月間アクティブユーザー数は、前期比８％増の約２４億人となった。

＊筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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