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概要:先進国の金利は今後数年間、インフレ率を下回る水準で推移しそうな情勢だ。こうした長期にわたる「金融抑圧」(中央銀行の大規模緩和で実質金利をマイナスに維持する政策)は、この数十年間に蓄積した過剰債務の返済に役立つはずだ。しかし先進国内の貯蓄者は、スイスなど海外の伝統的逃避先に資金を動かさない限り、「インフレ税」を支払うことになる。今回の局面では、インフレの被害から投資家を守る上で新興国通貨が思いがけない役割を果たすかもしれない。
[ロンドン 9日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 先進国の金利は今後数年間、インフレ率を下回る水準で推移しそうな情勢だ。こうした長期にわたる「金融抑圧」(中央銀行の大規模緩和で実質金利をマイナスに維持する政策)は、この数十年間に蓄積した過剰債務の返済に役立つはずだ。しかし先進国内の貯蓄者は、スイスなど海外の伝統的逃避先に資金を動かさない限り、「インフレ税」を支払うことになる。今回の局面では、インフレの被害から投資家を守る上で新興国通貨が思いがけない役割を果たすかもしれない。
6月9日、先進国の金利は今後数年間、インフレ率を下回る水準で推移しそうな情勢だ。
1970年代に欧米の金利はインフレ率に連動して上昇。為替市場では最も健全な金融政策を採る国が報われた。スイスフランやドイツマルクなど物価が比較的安定していた国の通貨は堅調で、インフレに苦しむ英国はポンドが下落した。
歴史は繰り返されるようだ。またしても先進国の短期金利はインフレに追いついていない。ポンドは対米ドルで年初来7%以上下落し、またもや不安定な様相を呈している。スイスフランは上昇し、ドルも堅調だ。
問題はスイスフランとドルがともに過大評価されていることだ。通貨の適正価格の目安として使われる「ビッグマック指数」によると、スイスフランとドルは今年初めの時点でそれぞれ1位と3位にランクされた。通貨高によりスイスと米国の輸出競争力は低下している。
金融当局はこの流れがいつまでも続くことを許さないだろう。米国は1985年の「プラザ合意」で、ドル高是正のため為替市場に協調介入する合意を取り付けた。スイスもこの10年間、中銀がフランの対ユーロでの上昇を防ぐため多大な努力を払ってきた。 しかも米国は金融抑圧からの明白な避難先ではない。非金融部門債務の対GDP比は過去最高水準に近く、連邦準備理事会(FRB)の主要政策金利は足元で国内のインフレ率を7%ポイントも下回っている。
円は投資先としての面白さが増す可能性を秘めている。日銀が他の先進国の金融引き締めに追随せず、円は年初から対ドルで急落している。しかし投資家は名目金利のわずかな相対的変動に過剰反応し過ぎているかもしれない。長い目で見て重要なのは実質金利だ。日本のインフレ率は現在2%近辺なのに対し、日銀は短期金利をマイナス0.1%に誘導している。つまり実質的な短期金利のマイナス幅は米国よりはるかに小さい。日本の債券市場の向こう10年間の予想インフレ率も米国よりやや低い。
また、円は過大評価されてもいない。日本の専門家のピーター・タスカ氏によると、円の実質実効為替レートは1995年のピークから半分以下に下がり、日本の輸出競争力は非常に高まっている。このため円は当局が市場に介入しなければ上昇余地がある。ただ、日本の公的債務の対GDP比は220%超と世界最高水準であるため、インフレが定着しても日銀は積極的に利上げできないという問題を抱えるかもしれない。
金融抑圧という言葉はもともと、発展途上国の金融当局がインフレ率を大幅に下回る金利を維持する慣行を説明するために1970年代に生まれたものだ。スタンフォード大学の経済学者ロナルド・マッキノン氏は金融抑圧を、国家による信用管理、個人貯蓄の抑制、経済成長の停滞と関連付けている。今般、先進国と発展途上国は立場が入れ替わりつつある。
欧米が金融抑圧を受け入れる一方、新興国の中銀はインフレとの闘いで信任がいかに簡単に失われるかを以前より意識しているようにみえる。2019年にアルゼンチンで起きた金融危機では、物価の高騰、通貨ペソの暴落、金利の急上昇が発生した。なぜ今多くの新興国中銀がインフレの再来にずっと精力的に対応しているのかは、この事例を見れば説明がつく。
例えばブラジルの政策金利は昨年初めの2%から現在は12.75%まで上昇し、直近のインフレ率をわずかに上回っている。新興国における金利上昇は先進国よりも急激で、主要な債券発行国であるブラジル、メキシコ、南アフリカ、インドネシアの債券バスケットの実質利回りは、米国債の実質利回りに対して15年ぶりの高水準となっている。
こうした規模の大きい新興国の通貨はまた、昨年末までの10年間で約30%下落し、相対的に割安になったようだ。ジャカルタのマクドナルドで売られているビッグマックの価格はチューリヒの約3分の1。国際通貨基金(IMF)によると、輸出競争力の著しい向上で、新興国の経常収支黒字は過去15年間で最大となっている。
米国が金融引き締めに動くと新興国通貨はアンダーパフォームするという考えが一般的だ。1990年代半ばや、最近ではFRBが量的緩和を縮小して市場が荒れた2013年の「テーパータントラム」がそうだった。しかし今世紀初頭にはFRBが利上げを行っても新興国通貨は良好なパフォーマンスを示していた。今年に入ってからは、FRBの利上げにもかかわらず新興国通貨は上昇している。しかも、新興国は今では海外借り入れへの依存度が低く、必要な資金を国内市場で調達することができるようになっている。
ロシアが最近、世界の金融市場から追放されたことは、新興国債券への投資がはらむリスクを痛感させた。トルコで起きている金融危機もこうした見方を補強する。しかし金融抑圧の世界では、為替トレーダーが言うところの「最も汚れていないシャツ」を見つけるのが勝負所となる。新興国のシャツにシミひとつ無いわけではないが、一部の国々に比べればずっときれいだ。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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