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概要:ショッピングモール向けローンを裏付けとした証券の空売りで119%のリターンを上げたヘッジファンド運用者が、今度は米国のオフィス物件を標的にしている。
ショッピングモール向けローンを裏付けとした証券の空売りで119%のリターンを上げたヘッジファンド運用者が、今度は米国のオフィス物件を標的にしている。
古いオフィスの多くには新型コロナウイルス時代の後にオフィスワーカーとテナントが戻らず、こうした物件向けローンでデフォルト(債務不履行)が増えるだろうと、ポルポ・キャピタル・マネジメントの創業者、ダニエル・マクナマラ氏が述べた。
同氏はインタビューで、「ニュージャージー州の郊外やマンハッタンのダウンタウンにある見た目の悪いビルで働きたい人間はいない」と述べ、「短期的には大きな下落の余地があり、長期的には満期時に価値が大きく目減りしているだろう」と語った。
マラソン・アセット・マネジメントのブルース・リチャーズ最高経営責任者(CEO)も、建物の古さや不人気な立地などで魅力のない物件への需要後退で、オフィス不動産市場の大きな部分が使われなくなり、そうした物件の関連ローンで返済が滞ると見込んでいる。
マクナマラ氏とリチャーズ氏はいずれも、商業用不動産担保証券(CMBS)のパフォーマンスに連動するデリバティブ(金融派生商品)指数をショートしている。マクナマラ氏らが2020年にショッピングモールを担保とした証券を空売りして巨額の利益を得たのと同様の手法だ。
ブルックフィールドやパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)傘下のコロンビア・プロパティー・トラストなどの物件オーナーが既に、米国の不動産ローンでデフォルト(債務不履行)し、ウォール街に衝撃を与えた。グリーン・ストリートによれば、オフィス物件は過去1年に25%値下がりした。さらに金利上昇が追い打ちをかけている。
余剰オフィススペース
需要後退とリモートワークの増加で、2020年代の終わりには米国に約3億3000万平方フィート(3000万平方メートル余り)の余剰オフィススペースが生じると、仲介業者のクシュマン・アンド・ウェイクフィールドが試算。これはマンハッタン全体のオフィススペースの約70%に相当する。
住宅用以外のビルの42%が1970年より前に建設されている欧州も事情は同様だという。仲介業者のサビルズは欧州のオフィス物件の価値が22年序盤のピークから25-30%低下するというシナリオの「可能性は増していると思われる」と指摘した。
バークレイズのアナリスト、リア・オーバービー、アヌジ・ジェイン両氏はリポートで「オフィス用ローンに対するエクスポージャーを敬遠する傾向は不動産取引をさらに妨げ、一段の価値低下をもたらす可能性がある」と分析。米国のオフィス物件の価格がピークから底までで30%下落すると予想。さらに「悪化するファンダメンタルズは下振れリスクを高める」と付け加えた。
全米抵当貸付銀行協会(MBA)によると、米国のオフィスに関する約920億ドル(約12兆6000億円)相当のノンバンク貸し付けが今年満期を迎える。トレップ・アンド・コンプスタックの見積もりによると、11の米大都市で24年末までに債務が満期を迎える物件のテナントの約25%が、賃借契約を打ち切る選択肢があり、オーナーが受け取る賃貸料が減少する可能性がある。
マラソン・アセット・マネジメントのブルース・リチャーズ氏
Source: Bloomberg
現時点でディストレスト状態にある債務はまだ少額だが、問題は拡大する見込みだ。資金の貸し手は古いオフィスのためのファイナンスにますます慎重になっていると、DBRSモーニングスターのアナリストが先月のリポートで指摘した。米国で新規のCMBSの組成は、金利上昇で貸し付けが減るのに伴い細っている。
こうした状況はマクナマラ氏のような投資家に好機を提供する。同氏は21年にロングショート戦略のヘッジファンドを開始。同ファンドはCMBS市場のディストレスト債を投機の対象としている。同氏はこれに先立ちMPセキュリタイズド・クレジット・パートナーズでショッピングモール関連の空売りで富を築いていた。
問題が積み上がっている兆候
ブルームバーグが確認した投資家向け資料によると、同氏のポルポ・キャピタルの2月成績はプラス1.55%。21年11月の運用開始以来のリターンはプラス13.49%となった。運用資産は約1億ドルだと事情に詳しい関係者が述べている。
マクナマラ氏は「CMBX」というクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の指数を利用してショッピングモールを裏付けとした証券を空売りした。最近では低品質で立地の悪いオフィス物件向けローンを担保としたCMBSに連動するより新しいシリーズのCDS指数を活用している。こうしたCMBSのリスクが最も高い部分の空売りからは、当該物件向けのローンで不履行が起これば利益が得られる。
CDS指数の最新のバージョンのスプレッドは「本物のリセッション(景気後退)が訪れれば」現在の770ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)から1200bp以上に拡大し得るとリチャーズ氏が電子メールで指摘した。
空売り投資家は、問題が積み上がっている兆候に事欠かない。連邦預金保険公社(FDIC)のマーティン・グルエンバーグ総裁代行は6日の講演で「CMBSのオフィス物件で延滞が増え始めている初期の兆候が見られる」と述べた。
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