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概要:通信機器大手のファーウェイが3月31日に2年ぶりの増収となる決算を発表し、「戦時」の脱却を強調しました。4月からはカナダで3年弱拘束されていた孟晩舟副会長が輪番会長として指揮を執り始めました。
ファーウェイの2022年12月期決算は2年ぶりに増収を確保した。
Reuters
通信機器大手ファーウェイ(華為技術)が3月31日に発表した2022年12月期の売上高は2年ぶりに増収となった。アメリカ政府が2019年5月に輸出規制を発動して間もなく4年。5G基地局供給で先進国から締め出され、スマートフォン生産も封じられたファーウェイは新事業に活路を見出し、規制下の影響を徐々にリセットしつつある。
消費者向け端末減収続くも全体は下げ止まり
顧客別に見たファーウェイの売上高。スマホを中心とした消費者向けビジネスは縮小が続くが、法人向けビジネスの拡大で増収を確保した。
ファーウェイ決算報告より
ファーウェイの2022年通期の売上高は前期比1%増の6423億元(約12兆4300億円、1元=19.35円換算)。前期の2021年通期は稼ぎ頭だった消費者向け端末事業の売上高が半減し、全体で3割の減収だった。2022年通期も消費者向け端末事業の売上高は前年比11.9%減で落ち込みに歯止めがかかっていないが、基地局建設など通信キャリア向けビジネスが下げ止まり、クラウドなど法人向けICTソリューションビジネスが30%伸びたため、全体では増収を確保した。
一方、純利益は同69%減の356億元(約6900億円)で、11年ぶりの最終減益となった。2021年通期はスマホのサブブランド「Honor」の売却益574億元(約1兆1100億円)を計上したため過去最高益となっており、2022年通期の減益はその反動が大きい。また、昨年は研究開発に売上高の25.1%に相当する1615億元(約3兆1200億円)を投じたことも、利益を圧迫した。
ファーウェイは従来、業績を顧客別に3事業に分けて発表していたが、今回は「産業別」の売上高も示した。
産業別に見たファーウェイの売上高。規制後に力を入れ始めたクラウドとデジタルパワーが一定の規模に育った。
ファーウェイ決算報告より
クラウド事業が約450億元(約8700億円)。2021年に事業部を発足した企業や産業の低炭素への移行を支援するデジタルパワーが約500億元(約9700億円)と、着実に成長している。いずれもアメリカの規制を受けにくい分野として、ファーウェイが力を入れている分野だ。2022年通期の売上高は2017年の数字に近く、ざっくりと言えば同年以降のスマホ事業の伸びが失われ、スマートカーソリューションも含めた新事業の芽が出始めたといった段階だ。
「半導体の制裁、座して待たず」
米中の経済関係は2018年12月に創業者である任正非CEOの長女、孟晩舟副会長兼CFOがカナダで拘束されたことで、「戦時モード」に突入。2019年5月には米商務省が米国企業のファーウェイへの輸出を規制した。同省は2020年、禁輸措置の範囲を「米国技術が関わる」半導体やソフトに広げ、ファーウェイの半導体調達を封じた。
2019年までスマホ販売数でサムスン電子に次いで世界2位だったファーウェイは、2020年に3位に順位を落とし、2021年は5位圏外まで落ちた。中国向けには4Gのチップを使った新製品の供給を続けているものの、海外市場ではほとんど存在感がなくなった。
世界トップだった基地局も5Gは日本を含め、アメリカの同盟国や欧州から事実上締め出されている。
2019年以降、ファーウェイの最優先事項は企業としての「生存」と、孟副会長の“奪還”だった。メディアの前に姿を現さず、謎めいた同社の象徴だった任CEOも積極的に取材を受けるようになった。
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各国のロビー活動に巨費を投じて半導体の調達や5G参入に望みをつなぎつつ、ファーウェイは2019年に製品の内製化を進めてアメリカのサプライチェーンに頼らない体制を構築する「スペアタイヤ計画」を始動した。2019年に独自OS「ハーモニーOS」を発表し、今年3月には、チップ分野で14nm(ナノメートル)以上のEDAツールの国産化を完了したと報じられた。
徐直軍(エリック・シュー)輪番会長は、決算発表で「EDAツールの国産化がファーウェイのビジネスに直接影響をもたらすわけではないが、それによって中国企業の選択肢が増える。半導体関連の制裁を受け続けるのを座して待つわけにはいかない。ファーウェイは中国の半導体の自力更生を支援していく」と説明した。
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任CEOが最近、国内資源で部品を賄えるように過去3年間で1万3000個の部品と4000個の回路基板を再設計したとも明かしていたが、徐輪番会長は「基本的にこうした取り組みは完了した。ここから大量に再設計をすることは考えにくい」と述べ、規制に対する緊急対応が一段落したことを示唆した。
日本からの調達も減少
アメリカの対中経済規制は、トランプ政権からバイデン政権に移行して、むしろ厳しさを増している。輸出規制の対象企業は拡大し、協調を求められていた日本政府も今年3月、中国を念頭に先端半導体の製造装置23品目の輸出管理を厳しくする措置を行うと発表した。
だが、決算発表会に登壇した徐輪番会長と孟副会長からは「戦時は終わった」「制裁下のニューノーマルに入った」との言葉が発せられた。先端半導体の調達は整わないままだが部品の国産化が進み、「経営危機というフェーズからは完全に抜けた」(同社関係者)との声も聞かれる。
規制が発動した当初は、日本でのサプライチェーンを確保することに重きが置かれ、2019年の日本での調達額は過去最高の1兆1000億円に達した。だがこの1、2年はファーウェイが公の場で日本からの調達額を喧伝することもなくなった。関係者によると、「部品の国産化の過程で、日本からの調達は減少傾向」という。
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4月1日には孟副会長が輪番会長として職務を始めた。カナダで3年近く拘束され、司法取引によって2021年9月に帰国した同氏は、1年前に3人いる輪番会長のメンバー入りを果たしており、今月から指揮を執ることは規定路線であったが、記者発表会で拘束や裁判、規制への影響について記者から質問されても淡々と答えており、戦時の象徴であった彼女を平時の場に出すことも、ファーウェイの意志を反映しているように見えた。
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浦上早苗:経済ジャーナリスト、法政大学MBA実務家講師、英語・中国語翻訳者。早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社(12年半)を経て、中国・大連に国費博士留学(経営学)および少数民族向けの大学で講師のため6年滞在。最新刊「」。未婚の母歴13年、42歳にして子連れ初婚。
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