ジョブズの娘やゲイツの娘にとっての｢夢の国｣とは？

馬術大会のメインスポンサーはエルメス。競技者用ラウンジをはじめ、至るところでロゴを目にした。

Kate Taylor

• フロリダ州ウェリントンは、アメリカの乗馬の聖地となった小さな町。

• オリンピック選手からスティーブ・ジョブズの娘やビル・ゲイツの娘といったビリオネアの子どもまでが何百万ドルもの賞金をかけて競い合うために、毎冬にやってくる。

• エルメスの馬用グッズ、豪華な厩舎、馬蹄形のダイヤモンドネックレスなど、ウェリントンは馬好きにとっての｢夢の国｣。

ほとんどの人にとって｢フロリダ州ウェリントン｣という名前は何の意味もなさない。

しかしオリンピック選手から、ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、ブルース・スプリングスティーンの子どもたちまで、ある種のエリート層にとって、この小さな町は毎年多くの人を惹きつける魅力的な町となっている。

ウェリントンの魅力はシンプル。アメリカの乗馬の聖地だ。

毎冬、ウェリントンでは｢冬季馬術フェスティバル（Winter Equestrian Festival：WEF）｣が1月から4月にかけて開催される。約4カ月にわたって、アメリカのトップクラスの馬術選手が900万ドル（約10億円）の賞金をかけて競い合う。

そしてウェリントンでは、馬場の外さえも馬が主役。｢馬が横断中｣というサインから8000ドルのエルメスの鞍まで、馬がウェリントンに君臨している。

筆者は乗馬にはまったく詳しくないが、以前、WEFに参加する友人とともにウェリントンを訪れた。

｢乗馬好きにとってのディズニーランド｣と呼ばれる町を見てみよう。

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ウェリントンは南フロリダにある。ウェストパームビーチから車で約30分。

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近隣に屋敷やマンションを持っている乗馬愛好家もいるが、ウェリントンはまさにそのための町。実際、100エーカーの馬場から離れることなく、豪華な暮らしを送ることができる。

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毎冬、何千人もの人が冬季馬術フェスティバルのためにウェリントンに集まる。主催者によると、毎年3000頭以上の馬が競技に参加、馬たちの合計金額は5億ドル（約550億円）を超える。

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初心者からオリンピック選手まで、あらゆる年齢、あらゆるレベルの騎手が12の馬場で競い合う。

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6歳の子どもたちは｢ポニー・アイランド｣と呼ばれる2つの馬場で小さい馬に乗って戦う。

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大人たちは、障害飛越、ドレッサージュ（馬場馬術）、ハンターシート馬術で競い合う。

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メインイベントは｢グランプリ（Grand Prix）｣。最大5フィート（約1.5メートル）のハードルをジャンプし、数十万ドルの賞金をかけて競い合う。

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WEFがセレブやビリオネアの子どもたちで溢れかえり、ランキング上位に入ってくると、グランプリはさらに盛り上がる。

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アップルの創業者スティーブ・ジョブズの娘、イブ・ジョブズはスタンフォード大学に通いながら、週末はウェリントンへ。

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スタンフォード大学でイブと同級生のビル・ゲイツの娘、ジェニファー・ゲイツも障害飛越のトップ選手。

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マイケル・ブルームバーグの娘ジョージナ、ブルース・スプリングスティーンの娘ジェシカ、トム・セレックの娘ハンナ、スティーブン・スピルバーグの娘デストリーも注目選手。

左から、イブ・ジョブズ、ハンナ・セレック、ジョージナ・ブルームバーグ、ジェシカ・スプリングスティーン。

Shutterstock Rex for EEM

Source:Business Insider

WEFのニュースの多くは、リッチで有名な子どもたちにスポットを当てている。だが、他のトップ選手の名前は一般人には分からない。

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だが、WEFで商品を販売する業者の多くが、馬用グッズに数千ドルを費やすセレブな乗馬愛好家たちをターゲットにしていることは明らか。

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メインスポンサーのエルメスは、ブランド名が入った水を無料で配り、競技者用ラウンジを設けた。

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約90社がWEFに出店。エルメスは1975ドル（約22万円）の競技用ジャケットなどを販売した。

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馬場から離れることなく、必要なものはほぼ何でも購入できる ── 読者には間違いなく不必要なものかもしれないが。

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複数のジュエリーブランドは、馬をモチーフにしたデザインで愛好家の目を引こうとした。

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これほど多くのダイヤモンドの蹄鉄を初めて見た。

馬術競技を見つつ、美術品さえ買える。

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美術品に費やす資金がなかった筆者は｢Just Fur Fun｣という犬をテーマにした売店に興味をそそられた。

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また個人的に気に入ったのは、独創的な馬用のおやつを売る｢Snaks 5th Avenchew｣。

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馬場の外さえも、馬が主役。

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ウェリントンでは、まさに馬が道路も支配している。

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ゲイツとジョブズの家族だけが豪華な厩舎に大金を使っているわけではない。

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馬が冬を過ごすグランプリビレッジには、多くの騎手が厩舎を所有している。

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そう、馬がここに住んでいる。

馬の頭部の像が前にそびえ立つ厩舎を目の当たりにして、筆者はニューヨークのブルックリンにある自分の家よりも、馬の家の方が間違いなく素晴らしいと悟った。

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ウェリントンは馬を愛する者にとっての夢の世界。

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だが20代のある乗馬愛好家が筆者に言った ── 皆が同類だと思わないで。

馬だけでなく、ヤギもいた。

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そして、筆者は2つの見解に達した。

第1に、競技者から馬のトレーナーまで、筆者がウェリントンで話をした人には2つの共通点があった。厳しい職業倫理と馬のとりこということ。

第2に、フロリダ州ウェリントンは、筆者がこれまでに訪れた場所の中で最も風変わりな場所 ── そしておそらく、テック業界のビリオネアの子どもたちが馬に乗って5フィートのハードルを飛び越え、エルメスと美術品にすぐに何千ドルも費やす、世界で唯一の場所。

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（翻訳：本田直子、編集：増田隆幸）