简体中文
繁體中文
English
Pусский
日本語
ภาษาไทย
Tiếng Việt
Bahasa Indonesia
Español
हिन्दी
Filippiiniläinen
Français
Deutsch
Português
Türkçe
한국어
العربية
概要:「端末割引は3万円まで」という提案がなされた総務省の有識者会議。なぜ、新料金が発表された後のこのタイミングなのか。そもそも3万円という数字はどこから出てきたのか。
5月30日に行われた総務省による有識者会合の様子
撮影:石川温
「端末割引は3万円まで」
5月30日に行われた総務省による有識者会合。さきごろ改正された電気通信事業法の実施に向け、具体的な省令の制定のため、大手キャリアやMVNO(格安SIM事業者)などを集め、ヒアリングが行われた。
電気通信事業法の改正では、各キャリアに「完全分離プラン」の導入を求めている。ただ、完全分離プランに対して、懸念を示す業界関係者も多い。
日本では2020年から5Gがスタートする。5Gは通信業界のみならず、あらゆるものが通信するということもあり、様々な業界に大きな影響を与えると期待されている。昨今、話題の「デジタルトランスフォーメーション」を牽引する要素として、5Gに注目が集まっているのだ。
しかし、スマホなどの端末購入補助がなくなってしまうと、5Gスマホが高いと感じるようになる可能性がある。ユーザーの購買意欲が減退し、5G端末が普及しない恐れがある。
「割引3万円上限」という数字の発端はドコモ
撮影:伊藤有
4月に5Gサービスをスタートさせたばかりの韓国では、5Gスマホに対しての割引が強化されており、5G普及に一役買っている。日本は韓国から1年遅れで5Gを開始することになるが、端末購入補助がなければ、さらに世界から日本の5Gが取り残される恐れもある。
今回の会合で、KDDIの古賀靖広渉外・広報本部長からは、「5G端末をより早く利用してもらえることが重要。ユーザー間の不公平感が生じない程度で、5G端末に関してはある程度の端末割引は必要ではないか」と提案があった。
NTTドコモの丸山 誠治経営企画部長からは「端末割引は3万円まで」という、かなり具体的な発言が飛び出した。通信契約の継続を前提としない割引において、上限を設けて割引すべき、としたのだ。
ポイントは「端末割引」の定義
撮影:小林優多郎
ここで肝となるのは「端末割引」という言葉だ。
実際、会合では「端末割引」は「利益の提供」という言葉の言い換えとして使われている。総務省ではこの「利益の提供」を、どのくらいまでに設定するかの議論をしたがっているようなのだ。
ドコモでは6月1日から「スマホおかえしプログラム」が開始される。通信料金と端末代金は分離され、ドコモでは36回払いを導入。24回の支払いを終えれば、端末の回収を前提に、残債の負担を「なし」にできるというものだ。
スマホおかえしプログラムを発表するNTTドコモの吉澤和弘社長。
撮影:伊藤有
ただ、この「残債の負担をしなくていい」というのが「端末の割引」つまり「利益の提供」と言えなくもない。高額なスマホであれば、それだけ端末の割引額が大きくなるわけで、そこに「不公平感が生じるのではないか」という懸念が発生する。
そこで、ここに適用される端末の割引に対して「上限を設けよう」というわけだ。
ただ、ドコモの場合、36回払いのうち、残債である12回分がまるごと「端末の割引」になるわけではない。端末が回収されるため、そこには「端末の下取り価格」も含まれている。
つまり「残債である12回分の支払額となる本体価格の3分の1から、(2年後の)下取り価格を引いた差分が、(端末の割引、つまり利益の提供として)3万円のなかに収まるのが望ましい」と、ドコモでは言いたいようだ。
仮にXperia 1で見た場合、本体価格は9万5400円(税別)で、24回分の支払いは6万3600円、支払わなくていい12回分は3万1800円となる。もちろん、これは下取り相当額も含まれた3万1800円であるため、「端末割引は3万円まで」というルールを余裕でクリアできる計算だ。
総務省議論は市場変化に「周回遅れ」
撮影:今村拓馬
ドコモからは「3万円まで」という提案があったが、ソフトバンクからは「端末価格のX%を上限とする」というアイデアも出ている。
一度、販売奨励金を禁止し、スマホ不況が起きた韓国では、禁止が見直され「X円まで割引OK」という方式が導入された。これにならう形で日本でも導入される可能性が極めて高くなった。
ドコモでは6月1日から「スマホおかえしプログラム」が開始されるが、
「総務省による今後のルールの整理によっておかえしプログラムが端末割引に当たるとされて、割引水準などが問題になる場合は、必要に応じた見直しを検討していく」(ドコモ関係者)
と説明している。
本来であれば、ドコモは法改正を待って、新料金プランを発表すればよかった。とはいえ、10月にキャリア参入する楽天よりも前に値下げを発表したかったために、背に腹は変えられなかったという内情がある。
始まったばかりのプログラムの中身が、法改正によって修正を迫られれば、ショップやユーザーは大混乱に陥ることも予想される。
もちろん、総務省も、もっと早く端末割引について議論し、そのあと、法改正に着手すればよかったのではないか。
キャリアが前倒しで値下げをしてしまったことにより、結局あとからルールが変更されることになるため、最終的にはキャリア、ショップ、ユーザーがとばっちりを受けることになる。
もはや、総務省の議論はマーケットにスピードに全く追いついていないのは明らかだ。
「スマホの料金がわかりにくい」というのは、総務省が後から規則をコロコロと変えるところに元凶があるのではないか、と思わされる。
関連記事
ファーウェイめぐる「米中デジタル冷戦」 結局“とばっちり”を食らうのは日本企業だ
(文・石川温)
免責事項:
このコンテンツの見解は筆者個人的な見解を示すものに過ぎず、当社の投資アドバイスではありません。当サイトは、記事情報の正確性、完全性、適時性を保証するものではなく、情報の使用または関連コンテンツにより生じた、いかなる損失に対しても責任は負いません。