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概要:日銀は18―19日に開いた金融政策決定会合で、海外経済の減速が続き下振れリスクが高まりつつあるとして、物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れに「より注意が必要な情勢になりつつある」との文言をの声明文に新たに追加した。「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を取りまとめる10月の金融政策決定会合で、海外経済の下振れリスクが国内経済、物価に与える影響を重点的に点検する。黒田東彦総裁は会合後の記者会見で、従来より追加緩和に前向きな姿勢を示した。 <
[東京 19日 ロイター] - 日銀は18―19日に開いた金融政策決定会合で、海外経済の減速が続き下振れリスクが高まりつつあるとして、物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れに「より注意が必要な情勢になりつつある」との文言をの声明文に新たに追加した。「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を取りまとめる10月の金融政策決定会合で、海外経済の下振れリスクが国内経済、物価に与える影響を重点的に点検する。黒田東彦総裁は会合後の記者会見で、従来より追加緩和に前向きな姿勢を示した。
日銀は声明文に、海外経済の動向を中心に経済・物価の下振れリスクが大きい下で、先行き、物価安定目標へのモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には「躊躇(ちゅうちょ)なく、追加的な金融緩和措置を講じる」と改めて明記した。黒田総裁は会見で「金融緩和について前回よりも前向きになっているかと言われれば、その通りだ」と述べ、追加緩和に向けた判断をさらに一歩進めた。
ただ、追加緩和の手段については総裁は、マイナス金利の深掘りが選択肢に入っていることを認めつつも、具体的にはその時点の決定会合で効果と副作用を十分勘案して決めると述べるにとどめた。
<イールドカーブ、「もう少し立った方が好ましい」>
決定会合では、現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)付き量的・質的金融緩和政策の継続を賛成多数で決定。政策金利のフォワードガイダンス(指針)も「当分の間、少なくとも2020年春頃まで、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定している」との表現に変更はなかった。
短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する現行の金融緩和政策の維持も決めた。上場投資信託(ETF)など資産買い入れの目標額も据え置いた。
長期金利は「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」との方針も維持。長期国債の買い入れは、保有残高の年間増加額を「80兆円をめど」としつつ、「弾力的な買い入れ」を継続する。
黒田総裁は会見で、超長期ゾーンの金利が過度に低下することへの警戒感を示した。「超長期(金利)が下がりすぎると、年金や政府の運用利回りが下がるのではということで消費者マインドへの影響があり得る」と指摘。「イールドカーブはもう少し立った方が好ましい」との見解を示した。また「長期金利が操作目標のゼロ%程度を外れる状況をいつまでも容認することはない」とも述べた。
YCCについて、決定会合では原田泰審議委員、片岡剛士審議委員が反対票を投じた。原田委員は、長期金利の変動許容は「金融市場調節方針として曖昧すぎる」と主張。片岡委員は「短期政策金利を引き下げることで金融緩和を強化することが望ましい」とし、緩和手段を具体的に示した上で反対した。
政策金利のフォワードガイダンスの維持についても、両審議委員が反対した。原田委員は、物価目標との関係がより明確となるフォワードガイダンス導入が適当だと主張。片岡委員は、フォワードガイダンスを物価目標と関連づけたものに修正することが適当だと主張した。
<景気・物価>
日銀は国内景気について、当面、海外経済の減速の影響を受けるものの、基調としては緩やかな拡大を続けると予想。消費者物価の前年比は、需給ギャップがプラスの状態を続けることや中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に「2%に向けて徐々に上昇率を高めていく」と指摘した。
ただ、海外経済の下振れリスクが高まりつつあるとし、企業や家計のマインドへの影響を注視する方針を示した。
片岡委員は、消費者物価の前年比について、先行き2%に向けて上昇率を高めていく可能性は現時点では低いとして反対した。
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