有力新興ヘッジファンドに集まる資金増加、コロナ前の水準を回復へ

有力な新興ヘッジファンドに集まる資金の額が増えており、新型コロナウイルスのパンデミック（世界的大流行）以前の水準に達している。来年には長らく目にしなかった規模の新興ファンドが誕生する可能性もある。

資金調達活動に詳しい複数の関係者によると、投資家からの調達額が年内に10億ドル（約1340億円）を超えそうな新興ヘッジファンド運営会社は少なくとも４社あり、合計で65億ドルを上回る見通し。来年はさらに大きくなりそうだ。

ミレニアム・マネジメントの元幹部、ボビー・ジェイン氏（52）が2024年下期にマルチマネジャーのマルチ戦略ファンド設立を検討している。これが実現すれば、2018年に80億ドルを集めてデビューしたエクソダスポイント・キャピタル・マネジメントに匹敵する規模となる可能性がある。エクソダスポイントも、元ミレニアムのマイケル・ゲルバンド氏が率いる。

ジェイン氏は広報を通じ、コメントを控えた。

それでも、10億ドル以上の資金でスタートするファンド会社の数は2008年の金融危機以前に比べ少ないと、ジェフリーズのプライマリーブローカレッジでセールス責任者を務めるバーサム・ラカニ氏は指摘。資金調達はより難しくなったという。

「環境が違う」と同氏は述べ、「現在のファンドローンチは、アウトソーシングや別途管理する口座を準備し、在宅勤務に柔軟で、低水準の手数料と少ない人員での開始を検討しなければならない」と続けた。

Billion-Dollar Hedge Fund Launches Tick Up

Annual total raised by firms starting with $1 billion or more

Source: Bloomberg reporting

取引開始時の資金が10億ドルを超えた新興ヘッジファンドは2005年には10数社に上り、合計で約190億ドルに達していた。だが昨年はわずか２社に過ぎず、合計額は45億ドルだった。

今年これまでで規模が最大なのはマラ・ガオンカー氏のサーゴキャップ・パートナーズで、１月に18億ドルで取引を開始した。

サーゴキャップ、取引開始－女性率いるヘッジファンドとして最大規模

このほか今年最大級となりそうな新興ヘッジファンドの２社は、いずれもケン・グリフィン氏率いるシタデルの出身で、複数の株式運用者に資金を配分してロングとショートをほぼ均衡させる戦略をとる。

ロンドンを本拠とするアイレックス・キャピタル・パートナーズを運営するのはシタデルの元トレーダー、ジョナス・ディートリッヒ、デーブ・サットン両氏で、当初の資金は17億ドル。シタデルのサーベイヤー・キャピタル部門責任者だったトッド・バーカー氏は年後半にフリーストーン・グローブ・パートナーズを稼働させ、調達額は20億ドルを超える見通しだと関係者が述べた。

今年注目されるヘッジファンドの一部は以下の通り。