海運業界、50年までに排出ゼロ 米・デンマークなどが支持

［グラスゴー １日 ロイター］ - デンマークや米国など１４カ国は１日、英グラスゴーで開催中の国連気候変動枠組み条約第２６回締約国会議（ＣＯＰ２６）に合わせ、世界の海運業界が排出する温暖化ガスを２０５０年までにゼロにする目標に支持を表明し、宣言文書に署名した。

この目標を巡っては、国連の専門機関である国際海事機関（ＩＭＯ）で今後、議論が行われる。

ＩＭＯは２３年を期限に新たな排出削減策を検討しており、今回の宣言はＩＭＯで排出ゼロ目標に対する各国の支持を取り付ける狙いがある。

宣言を主導したデンマークのフレデリクセン首相は記者会見で「５０年までに排出ゼロの海運を実現するため、野心的な目標を設定するようＩＭＯに行動を求める」とし、「カーボンニュートラルな海運は気候目標の達成に不可欠だ」と述べた。

ベルギー、英国、フィンランド、フランス、ドイツ、ホンジュラス、ハンガリー、アイスランド、マーシャル諸島、ノルウェー、パナマ、スウェーデンも宣言に署名した。

各国は宣言で「ＩＭＯで（５０年の排出ゼロ）目標を採択し、海運業界が５０年までの完全な脱炭素への軌道に乗れるよう、３０年、４０年の目標を採択すべく取り組む」ことを約束した。

ＩＭＯは加盟１７５カ国を通じて海運規制を設定しており、コンセンサスでの決定を目指す。より厳しい排出削減目標の承認には過半数の賛成が必要で、政治的な難しさを伴う。大規模な海運業界を持つ日本やギリシャなどは宣言に署名しなかった。

ＩＭＯは１８年に、海運業界の温暖化ガス排出量を５０年までに０８年比で半減させる目標を掲げた。ただ科学者らは、気候変動による最も深刻な打撃を回避するためには５０年までに排出を実質ゼロにする必要があるとしており、ＩＭＯの現行目標では達成できない。